file 1 心理学研究部の美少年

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うちが私立だからなのかは知らないけど、最低限の部員数というのも決まっていないらしく、有本くんが発足した【心理学研究部】は一人であっても部として学校で認められている。 「集まらないんじゃなくて俺が入部を許可しないんだよ」 「……え?」 「ミーハーな女子とか。ただ部に名前を置きたいだけのヤル気なしの奴しか来ないから」 ミーハーな女子……。 これだけのイケメンならそういう女の子が寄ってくるのも仕方がないのでは。 そもそも許可を出す権限は部長にあるものでもない。 まずは顧問ではないか。 「そういえば心理学研究部の顧問はいるの?」 「顔を出したことはないけど音楽の先生がそうみたい。まぁ、心理学を無知の大人が来ても何も始まらないけどね」 「でも一人では何も出来ないでしょう?」 「出来るよ、実証できる研究対象さえあれば俺はデータを残していける」 有本くんはそう言うと再び好奇な目で私を見た。 彼の視線に、思春期特有の、大人女子に向ける性的な視線などは微塵も感じられない。 ……この子はちょっと変わり者なのかも。
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