プロローグ

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画家だった父が良く口にしていた言葉。 私は、父が描く花の絵が好きだった。 その中でも青い薔薇の絵は、古典的な作法で描かれていながらも、ミステリアスで妖しい魅力に溢れていて、マニアでも人気があり高い値で取引されているようだった。 けれど、 その絵も、父も母も、15年前の自宅火災で消えてしまった。 たまたま私が祖父母の家に泊まりに行っていた夜のこと。 全焼した家の跡からは、母の遺体だけが見つかった。 父はそれから行方不明。 私に残されたのは、僅かな遺産と、 ″ 保険金目的の殺人 ″ と、″贋作 詐欺 ″ という父の汚名だけだった。
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