能面女VS仮面男

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「っふ、弱点はここか・・・・」 首筋が弱い事がバレてしまったようだ。 「あの。わたしは仕事が終わったらしいので帰りたいのですが」 終わらせるつもりはなかったけど、すでにパソコンの電源も落とされたのでは仕方がない。 「ああ、帰ろうか。どこで食べて行く?」 「っはい?食べて行く?」 なぜ、あなたと夕飯を共にすることになっている? 「どうせ、帰ったら食事はとるだろう?だったら食べて帰れば手間が省ける」 ・・・・・うん、そうだな。 帰ってから支度をして食べ始めるのは9時半を過ぎるだろうし・・・・ 「だろ?ほら、着替えておいで」 抱きしめていた腕をほどかれると、重いと文句を言いながらも暖められていた熱が飛んで行くような切ない気持ちになってしまった。 座っていたイスを引っ張り出して、脇の下に手を入れて立たされると 「ほら!俺に着替えさせられたいのか?」 言いながら制服のベストのボタンに手を伸ばす課長の手を止めて 「それには及びません。では着替えて参ります。が、わたしは帰ります」 もともと一緒に食事をするなんて、わたしはひと言も言っていない。 気を遣う上役との食事なんて、真っ平ごめんだ。 「はいはい。いいから着替えて来いよ」 立ち上がったままのわたしのお尻を叩くのはセクハラですよ? 訴えましょうか? まあ、抱きしめられていた時点でセクハラでしたけど。 仕方なしに引き出しから小さいバッグを取り出して、更衣室の方に向かった。
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