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メイドと二人で玄関先までみんなを見送ると
「では、わたしも片付けが終わり次第自分の住処の方に戻らせていただきます。御用の場合は、電話のわきに番号がメモしてありますのでご連絡をください。真澄さまのお食事もキッチンの方に支度してございますので、起きられたら勧めてみてください」
俺の母親よりも少し若い世代と思われるメイドさんは、同じ敷地内で暮らしているらしい。
「助かりました。ありがとう」
彼女をキッチンに残して、俺は真澄が寝ている部屋へと入って行く。
ベッドサイドの小さな明かりだけ点された薄暗い室内では、真澄の規則正しい寝息だけが聞こえて来て
怖い想いをしただろうに、今は安心したような顔で眠っている。
そっと近づいて顔をのぞき込んで見ると、ナイフで傷つけられた頬には、メイドが手当てをして絆創膏を這ってくれたようだ。
一応、この部屋で寝られるようにと布団を一組用意してもらってある。
起こさないように布団を敷いて、用意してくれたスウェットに着替えるも、真澄が起きる気配はなさそうだ。
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