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怖い夢を見て、パッと目を覚ました。
息も荒く、弾むような呼吸を整えるようにして口を押えて目をつぶっていると
「怖い夢でも見たのか?」
寝ていたベッドの下から顔だけ起こした課長がこちらを見ていた。
「・・・・・・・・・・・どうして?」
自分としては、ここに課長がいる事に驚いていると言うのに、こんな時でも感情が表に出ない自分に呆れそうになる。
「みんなはこれからの対策を練るのに東京に戻って行ったけど、俺だけ残った」
体を起こして、わたしが寝ているベッドのフチに腰掛けながら教えてくれた。
あぁそうか・・・・・
夢じゃなかったんだ・・・・・・
怖くて目が覚めた夢は、現実に起こったことだったと思い出すと悲しくなってきてしまう。
掛けてあった布団を少し引いて顔を隠すように覆うと、そっとその布団を下して
「真澄?」
彼から初めて名前で呼ばれた事に驚く顔を向けた。
「少し、俺の話を聞いてくれるか?」
薄暗闇でもわかるぐらいに真剣な表情で話す彼に、コクリと頷いて見せた。
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