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___ ピンポーン♪
下のエントランスの呼び鈴が鳴ると、モニターにはさっき別れたばかりの課長が映り込んでいる。
少しはにかんだような顔でモニターを見つめている彼に
「今開けますね」
言葉とともに開閉のボタンを押した。
エレベーターで上がってくる頃合いを見計らって玄関の扉の前で立って待ってると
「ただいま」
まだ共同通路だと言うのに、ふんわり包み込むように抱きしめられて
「おかえりなさい」
彼の胸元にうずまった顔を持ち上げてその言葉を告げた。
肩を抱かれて玄関の扉から中に入ると、扉が閉まる間際にキスをされ
「夢が叶った・・・・・」
キスの合間につぶやかれてしまった。
ずっと、課長の気持ちを知りながら拒絶してきたわたしは、待たせてしまって申し訳ない。
誤解でこうなってしまったのは、あたしの所為だし・・・・・
「病院は?なんだって?」
靴を脱いでリビングに向かいながら聞いてきた課長に
「打撲だけです。薬もシップもなにも貰いませんでした」
少し痣になっているだけで、痛みももう感じていないから断った。
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