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「そう?そう言えば美月さんは?」
俺が来るまで待っていると言ってたけど、彼女の姿が見えない。
「わたしが帰ってってお願いしたんです。きっと智之さんは疲れて帰って来るでしょうから、そっちの事をお願いしました」
今、剣菱の会社は騒然としているだろう。
誘拐の事も警察が介入して来ていることもあって、会社の外には報道陣がまとまって取り囲んでいるのをここに来る途中の車の中で目にしていた。
「課長、早かったんですね」
俺が一緒に持って帰って来た紙袋を受け取りながら聞いてくる真澄に
「残業なんてやってられるかよ」
やっと想いが通じ合って、今夜から存分に抱きしめられるって言うときに野暮な事は聞くでない!
「あ、課長」
いつまで経っても課長呼びする真澄に
「真澄、俺の名前は?」
知って当然の質問をすると
「あら、ご自分の名前を忘れちゃったんですか?」
反対に揶揄うように答えてきた。
「ん~?おイタする子はお仕置きしなきゃだな・・・・・」
笑いながらキッチンに行こうとする真澄の腕を引いて、そばのソファーに先に座った俺の膝の上に乗せ
「か、課長!重いですって」
拒絶して降りようとする真澄の体を押さえて、ついでに唇も俺のそれで押さえつけてやった。
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