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カウンターの中からこちらを見ていた修三さんと目が合うと
「ごめんね!真澄ちゃんが来たら連絡をするように言われてたんだ」
両手を顔の前で合わせて謝罪ポーズを取る彼に
「わたしよりもこの人を取ったんですね?」
恨めし気に睨みつけてやると
「当たり前だろう!俺はここのオーナーだぞ!」
雇い主に反抗なんてさせないってか?
みんなはわたしが連れだされるのにも気がつかずに、キャーキャー騒いでいる声が聞こえて来る。
茉優------!
売り飛ばされたら、買い戻してくれるぅ~?
カウンター奥に連れて行かれ、さらに勝手口から外にまで出されたわたしは、彼と向かい合う形で立たされて
「真澄。なんで俺からの電話に出ない?」
先ほどまで見せていた怒顔をやめ、困った顔でわたしの顔をのぞき込んできた。
答えられずに黙ったままでいるわたしに、
「答えられないって事は、俺の想像通りだって事だな?」
彼がなにを想像していたのか知らないけど、先ほどの問いかけは非常に答えづらい。
更なる問いかけにも無言を貫くわたしに、はぁ~っと小さく息を吐いた彼が
「わかってるよ。お前が言われただろう言葉も、言いにくいだろうって事も。どうせお袋だろう?」
俯くわたしの頭をポンポンと叩いたあと、引き寄せられて胸の中に閉じ込められた。
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