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「すごいな。よくできてる」
「うん。繋いでびっくり。……わかる?」
叶多は曖昧に訊ねた。
午後になってやってきた戒斗は壁画から叶多に視線を移した。
薄らと焦げ茶がかった伊達眼鏡は、微妙に光を反射して目の表情はよく見えないけれど、口もとが片方だけ上がった。
「いちばんお子さまなのを探せば間違いない」
「ひどい」
「逆に見つけらんなきゃどうかしてるだろ」
鼻で笑いながら割りこんだのは陽だ。
戒斗が来ると、ユナたちは出迎えのときからボディガードだと自称して無理やり同行した。
確かに陽と永がいると、背の高さが紛れて戒斗が飛び抜けて目立ってしまうこともない。
けれど、個々への視線は分散されても結局は三人まとめて注目を集めているような気がする。
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