304人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここで出し惜しみしたら、ファンサービスをモットーにしてるFATEの名が廃るよな。しかも母校だしさ」
生徒会長の加勢をして陽がけしかけた。
このところやられてばかりの戒斗は目を細めて陽を見やった。
陽はものともせず、挑戦するようにくっと小さく顎を上げる。
戒斗はため息混じりに笑った。
「ギターはある?」
「はいっ、もちろんです。ベースもありますけど」
生徒会長は暗黙の了解となった戒斗の質問に勢いこんで答えた。
「ベーシストの邪魔をする気はない。FATEの曲は何曲? 曲順は?」
「三曲めから続けて三曲です」
「オーケー。そのかわり、条件がある」
「なんですか?」
「向こうで」
「戒斗、いいの?」
演奏を聴けるのはうれしいが、叶多はまたよけいなことをさせている気がした。
最初のコメントを投稿しよう!