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「ばかげたことに時間をお使いではありませんか」 「ばかげたこと、かな。一族の将来がかかっているというのに? 総領に次いで次位まで慣例を無視されるということがどういうことか心得ていただきたい。有吏本家としてどうあるべきか。今回の総領の件を認められた次位自身が証明すべきでは?」 「父の言うとおり、有吏本家は翼下を守ることにある。一族の将来がかかっているからこそ、あえて拒否しているだけです」 「いずれにしろ、我々従者は量らねばならない。次位についても、八掟家の娘についてはなおさらのこと。破談になったのは単純に二件ではない。四件だろう? 次位がこのまま強行されるならば六件」 戒斗はその数の不自然さに伴って、仲介主宰の含んだ言い方に気づいた。 「どういうことです?」
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