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「そろそろ帰らねば・・・」
そう思った法子がコンビニを出た瞬間、後ろから声をかけられた。
「少しの間、お話よろしいですか?」
「はい?」
法子が振り向くと、貧相なひとりの男が立っている。
顔は丸顔だが、全体的に痩せていて少し猫背の姿勢だ。
そして、今時になんと全身タイツを着ている。
なんとなくとんねるずのモジモジ君だろうか、でも今までに見た事の無い芸人。
法子が、覗き込むように男を見る。
「ダサい!」
ひと目見て、絶句するような気色悪さだ。
「なんだ、この男は!!」
鼻の穴から鼻毛が伸びているではないか、人を小馬鹿にして。
それにしてもしからずんば、なんとブサイク!
何故、私には嵐の松潤のようなイケメンが寄ってこないのだろうか?
さりとて、心の中ではそう思ってみても口に出して言えるはずもない。
だからして、ここはひとつ素直に聞いてみようと考えた。
「JKですか?わたくし、こういう者で」
男が名刺を差し出したので、しからずんば法子が受け取ると。
「CEO生田目滑央(なまためなめお)・・・なんですかこれ?」
思わず、法子がキョトンとした。
何故なら、名前からしてキモい!
「私は芸能事務所の社長です、先程から貴方に釘付けでした。
貴方こそ、モデルに最も相応しい方です」
生田目の瞳が、キラキラキラリ。
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