第1章           JK蒲須田法子(かますだのりこ)

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都内、10階建て雑居ビル内に生田目社長の事務所がある。 室内には誰もおらず、生田目が社長兼社員のようだ。 部屋の真ん中にテーブルとパイプ椅子が置いてあるだけで、他には何にも無い。 二人がテーブルを挟んで、向き合う形でパイプ椅子に鎮座する。 「僕の言う事をよく聞いて欲しいのですが」 男の顔を覗き込むように、慎重に頷く法子。 「来週の土曜日にミスコンテストが開催されます、その大会に参加して下さい。 参加手続きはこちらで準備します、場所は秋葉原ホテルです」 「私は太っているので、ダイエットしたほうが良いですか?」 法子の瞳は真剣だった。 「いえいえ、このままで結構です。このままで」 「はぁ?」 男の奇妙な話に、ため息をつくような返事。 「蒲須田さんには、コスプレをお願いしたい!」 「私もコスプレが大好きなんです!セーラームーンがいいですか? それとも、ラブライブがいいですか?」 いよいよ、法子も乗り気だ。 「衣裳はこちらで用意します、楽しみは後ほど・・・」 「それでは、こちらにサインを」 男がテーブルの下から書類を取り出し、法子の前に差し出す。 すかさず、ペンでサインをする。 「それでは、後日秋葉原ホテルでお会いしましょう」 生田目が右手を差し出すと、求めに応じて握手する法子。 既に、門限は過ぎてしまっていた。
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