第2章       すったもんだの蒲須田法子

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淡々とした社長の物言いに、不機嫌な気配を漂わせつつ苛立たしげな口調で。 「私嫌です!こんなコンテスト」 「落ち着いて!日本で初めてのデブ専コンテストなんだ。 優勝すれば、タイ国のスーパーモデルDEBUの大会に日本人として初めて 出場できるんだ!!」 「今日まで、ダイエットにはげんできたのに・・・」 「逆にもっとデブるんだ、コンテストに優勝すれば豚足女王として君臨できるんだ。 そうなれば、誰も豚とは言わなくなるよ!」 しからずんば、スーパーモデルDEBUというレッテルが・・・。 さりとて、恥を偲んでデブ専女王として君臨すべきか・・・。 迷いが法子を悩ませる、どちらにしても理想のスーパーモデル像からはほど遠い。 健康をとるのか、それとも見た目を取るのか? 「だけんど・・・だけんど!!! 私はピエロじゃないんだ、ピエロじゃ!!」 その証拠に法子の眼に飛び込んでくるのは、ところどころ肉がはみ出ている水着。 醜態をさらけ出している、ブルマー姿の参加者。 「もういや!スクール水着もブルマーも大嫌い!!」 大声で叫んだところ、法子が猪突猛進さながら楽屋から飛び出して行った。 「待ってくれ!デブ専女王は君しかいない、ランウェイは君のものなんだ!!」 人混みが不規則にうねる中、追い掛ける為雑踏の奥へと紛れ込んでしまう生田目社長。 その後、デブ専女王コンテストは第1回で中止になってしまったのである。 やはりというべきか、スーパーモデル協会DEBUはあっさり解散となり果てた。 「いくら権限を持ったとしても、嘲笑しか残らないのであればやむ無し・・・」 スーパーDEBU協会理事長の最後の言葉である。 しからずんば、蒲須田法子は懲りる事なくスーパーモデルを目指し、 実現に向けてダイエットに励んでいるそうだ。 そして、現在でもジャニーズアイドル・ロリポップを追いかけ回しているらしい。                (終)
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