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ミシィハが腰を浮かしかけた。そこを、ミシィハの後ろに立っていたオリギトが肩を押して無理やり座らせる。
ミシィハは一回深呼吸してから続けた。
村に生存者が居ないか、恋人の形見だけでも見つからないか、ミシィハは必死に探したらしい。そうこうしているうちに、弱いものではあったが魔物が現れた。
襲われかけたので、ミシィハは仕方なく逃げ去る事にしたようだ。
「コイツが村を焼いたから魔物が現れたんだ」
「違う!」
ヤヅァムが反射的に叫ぶ。その勢いにミシィハはびくりと体を縮こめた。
「ヤヅァム、私は村で何があったのか、そこの所だけ、詳しく聞けていない。……話してくれるよね?」
威厳ある、騎士団長らしい、落ち着いた声のキュイールにゆっくりと言われ、ヤヅァムも少し落ち着いたようだった。
「……俺は、あの日、でっかいシュントを捕まえたくて、森に行ったんだ」
スェマナも、あの日の事をよく知らない。
ヤヅァムが村に魔物が現れた、と言っただけだ。スェマナは何も見ていないし聞いていない。
「村を出るときに、新しい夫婦のために、家を一軒建てようって、タブトレおじさんが言ってるのが聞こえた」
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