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これはとても光栄なのだと、スェマナにもなんとなくだがわかる。
ハンキレンダが得心したように何回か頷いているし、オリギトの顔がパアッと輝いている。
「ハンキレンダにはこの領地の、領主代理として働いてもらう。
ヤヅァムはこの領主館と王都、再建した村との連絡係になってもらおうと考えている。
そこのオリギトには、村を治めてもらうことになる」
ヤヅァムを放置しておくことは、彼にとってあまり良くないそうだ。
移動の魔法が便利すぎるので、高位の貴族に使い潰されないよう、はっきりと王族からの覚えがめでたいキュイールの部下にすることで保護するそうだ。
なぜ今、そんな話をするのだろう。
今するべきは魔物退治の話であって、スェマナの結婚話ではないだろう。
「君がヤヅァムを追いかけている姿を見て思った。
……君の素早さや、身軽さはとても諜報活動に役立ちそうだ。
女の子にこんな話を持ちかけるのは私もどうかと思うが……」
つまり、閃いたのが今だから、今、部下として正式に勧誘しただけということか。
「キュイール様のお役に立てるなら、光栄ですし、協力したいです。
でもわたし、もしも自分で生きる道を選んでいいのなら、村にずっといたいです」
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