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「記録では、このあたりに祠があるはずだ」
ハンキレンダが地図上に指を置く。
そこは村のはずれに近い。
「確かに、魔物はこっちのほうから来てた気がします」
「そこ、確か、だれも使ってない井戸があった筈」
スェマナは村の外れにあった、なんとなく気持ちの悪い井戸のことを思い出した。
「あの井戸に近づくと気持ち悪いの。頭が痛くなるって母さんも言ってた」
あの井戸のせいで具合が悪くなった時は、取っておいたイァサムの実の皮をお風呂に入れ、ゆっくり、きれいな泉の水を飲むのだ。
そうすると、不思議な位スッキリ治る。
「……ヤヅァム、なんで村には井戸があったのに、みんな、わざわざ谷の泉まで行って、水を汲んでたのかな?」
井戸は便利なものだ。
遠くまで水を汲みに行かなくて済むのだから。
スェマナに、なぜあの村では井戸を使わなかったのだろう?と言われて、初めて、ヤヅァムもおかしい事に気がついたらしい。
悩む二人に思考の助け船を出したのは、ハンキレンダだった。
「おそらく、井戸は悪い魔力で汚染されていたのだろう……それで、泉、とは?どこにあった?」
「イァサムの畑のすぐ近くに」
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