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ついに、『その日』が来た。
スェマナとヤヅァムは『先発隊』の一員として、安全に村に近づけるギリギリの場所まで行くことになった。
ギリギリの場所に小屋を建て、その小屋と領主館をヤヅァムの魔法で繋ぐのだ。
このやり方ならば、徒歩や車で悪路を進んでいくより余程速く、大量に用意された武器や人員を移動させることが可能になる。
「スェマナ、無理するなよ?」
先頭を進むのは、誰よりも素早く動けるスェマナだ。
スェマナが先行し、なるべく安全な道を探す。
その、おそらく自由に進むスェマナを見失わないよう、 追いかける係が二人。
スェマナと、スェマナを追いかける係と、先発隊の本隊への間に、連絡係が更に用意されている。
残りの人員は小屋を建てたり、武器や食料などの荷物を運ぶことになる。ヤヅァムはこちらの隊と共に移動する。
「うん、ヤヅァムも気をつけてね」
以前であれば、街から村に行くためにかかるのは、半日程度で済んでいた。
何年も放置されていた街道の、どこまで魔物が現れるのか、誰にもわからない。荒れた道や、街道沿いの繁みの中も確認していきながら進む。
数日をかけて、先発隊は村の近くの低地側の森までたどり着いた。
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