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簡易な天幕を張り、村の周囲のどこからどう進むか、をスェマナとヤヅァムを中心に話し合う。
ヤヅァムの顔色があまり良くない。具合が悪いのではなさそうだから、イァサムの実でも食べれば、きっと元気になるのではないだろうか。スェマナは森の向こうを見た。
「……イァサムの畑がすぐそこにあるのに」
あの畑から村の様子は見えないが、村からは畑の様子がよく見えてしまう。『安全』を求めるのなら、ハンキレンダを呼んで、祠とやらを封印してもらうまで、イァサムの畑には近寄れない。
「スェマナさんは疲れていませんか?」
この先発隊の隊長を務めるのはオリギトだ。そのオリギトに聞かれ、スェマナは首を横に降った。
「あた……わたし、は平気です」
「そうですか。……ここまでは魔物は、ほとんど出てきませんでしたね」
オリギトが台に広げた地図にある通り、村から見ると森は高台の方と低地の方の、両側に広がっている。昼間スェマナが見てきたようすだと高台の森にも魔物は出ない。ただ、以前よりも普通の獣が凶暴化しているような印象を受けた。
「でも、なんだか獣の数も前より増えてるような気がします」
「獣を狩る奴がいないからだよ、きっと」
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