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冬依は、
「久しぶりに会ったお友だちなら、積もる話もあるでしょう。僕のことは気にしないで」
なんて大人びたセリフを言って、透子と鈴音を隣り同士に座れるソファーに、自分は通路側の椅子にひとり腰掛けていた。
そこで、透子と鈴音には関心をもたない素振りで、チョコレートパフェなんかを食べている。
柄の長いスプーンを、小さな口に咥えるサマは、
『……うっ、可愛い』
どこからどう見ても、紛うことなき美少女である。
『これで男の子……』
なんとなく納得できない思いを抱えて、ぼおっと冬依を眺める透子に、
「透子?」
鈴音は、ふいに名前を呼んでくる。
透子は、はっと我に返って、
「あ、ごめん。でも違うって、それはどういう意味?」
急いで話題を、鈴音の同棲の話に戻した。
鈴音は、ちょっと言いにくそうに、
「うん、同棲っていうより同居なの。冬依くんとか、春さんの兄弟がみんな一緒だから」
「え?」
さすがに透子も驚く。
「みんなって?」
「うん。春さんの2番目の弟と3番目の弟。それからもちろん冬依くんも一緒」
「じゃあ冬依くんって……」
「うん4番目の弟。春さんは4兄弟の長男なの」
「――え」
絶句した。
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