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透子の兄弟といえば姉がひとりいるだけで、姉妹だ。
だから男兄弟なんてのは、さっぱり想像もつかず、その上、一緒に暮らすとなると、まったく範疇外である。
「……それ、どんな気分?」
思わず聞いてしまった。
すると、
「じゃあ、ウチに遊びに来てください」
それまで、こちらにはまったく無関心だった冬依がフイに言う。
「ウチにどうぞ。お姉さんさえ良ければ、泊まってくれたっていいし」
「え、泊まるって、そんな――」
透子が驚くと、鈴音も、
「そうよ冬依くん。透子には仕事だってあるし」
重ねて、
「お休みはいつまで?」
と聞いてくれる鈴音に、うっと言葉に詰まる。
すると冬依が、
「お姉さんはしばらくお休みでしょう。それとももう、新しい仕事が決まってるんですか?」
聞いてきた。
「え?」
「え?」
透子と鈴音は同時に冬依を見つめ直す。
冬依はふたりの視線にさらされても、特に表情も変えず、パフェの長いスプーンを弄んでいた。
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