113人が本棚に入れています
本棚に追加
すると冬依が、
「だからウチへどうぞ。ウチなら鈴ちゃんの事情も全部わかってるからね」
冬依と鈴音ではずいぶん年が離れているだろうに、
『鈴ちゃんって呼ぶんだ』
透子は妙なことに感心する。
でもそのことだけではない、ひとつ確かめておきたいことがあった。
「ねえ。冬依くんはどうして、私が仕事を辞めたこと知ってるの?」
冬依は、何でそんなことを聞くんだろうといわんばかりの不思議そうな顔で、
「だってさっき、お姉さんが自分で言いましたよ。結婚式場に勤めていた、って過去形で」
透子のことは『お姉さん』と呼んだ。
透子と鈴音は同じ年なのに、この差はなんだろう、そんなことを考えながら、
「……そうだったかしら」
透子は首をかしげて、とりあえず、鈴音が同棲もとい同居している、来生家にお邪魔することになった。
最初のコメントを投稿しよう!