1 幼なじみ

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ところが、久しぶりに会った鈴音は、ひとりの美少女を伴っていた。 少女は、ちょっと遠慮がちに、鈴音のシャツの裾をつんつんと引っ張っている。 ほっそりとした肢体に透き通った白い肌。 大きな瞳をふちどるのはパサパサと揺れる長いマツゲ。 まるでよく出来たビスクドールみたいに綺麗な顔。 誰だろう。 鈴音は確かひとりっこだったから、妹とかではない。 透子のいぶかし気な視線に気が付いたのか、鈴音は、 「あ、紹介するね。冬依くん。その……、春さんの弟なの」 おずおずと紹介してくれた。 鈴音の言う春さんとは、電話で聞いていた、確か鈴音の婚約者の名前だ。 そう、婚約者の……。 でもそれとは別に、今、驚くべきことを聞いた気がする。 「え、弟?」 そう言った風に聞こえた。 少女は確かにパンツスタイルだが、それでも、 「……お、男の子なの?」 信じられない。 「ぼく、来生冬依です。こんにちは」 冬依くんは礼儀正しく挨拶をくれたけれど、にっこり笑う顔は天使の微笑み。 思わず見惚れる可愛らしさだ。 「……千影、透子です」 なんとか名前だけは返したが、冬依に比べたら、その挨拶の出来は0点だ。
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