1 幼なじみ

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「そうだったの。マンションが火事――」 とりあえず目についたファミリーレストランに腰を落ち着けて、鈴音の話を聞いてみれば、驚くべき事実が明らかになっていった。 なんと鈴音は、住んでいたマンションが全焼して、身体ひとつで焼け出されたのだという。 「そんな大変だったなんて、知らなくてごめんね」 透子はつい謝ってしまう。 「ううん。透子は北海道だったし、知らせても心配させるだけだから、わざと言わなかったの。こっちこそごめん」 側にいたなら、きっと何を置いても駆けつけるだろうが、いかんせん透子は北海道だ。 距離のハンデがありすぎる。 「でも、それがきっかけで恋人と同棲することになったのかぁ。で、一緒に暮らしてみてこの人ならって婚約を決めたの?」 透子が納得した、と言ってみれば、 「ううん、ちょっと違うんだけどね」 鈴音は複雑な顔をして、対面に座った冬依の方に目をやった。
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