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「……どうすりゃいい?」
3000万円の札束に囲まれながら、対峙するエンドに問いかける。
3000万円分の契約を履行しようとしているようにはとても聞こえない、弱々しい口調だった。
「分からないか?」
エンドは無感情な目で俺を見下ろしている。
俺に買われた時ととは、全く違う視線で、態度で。
「……お前が考えろ。買われたのは、お前なんだから」
「わ、分かってる!」
戸惑っている俺に、エンドからの追い打ちがかかる。
歯噛みするが、契約は履行されなきゃいけない。
覚悟を決めて、エンドに近付く。
肩に手を置き、一方の手でネクタイを掴み、顔を近づける。
……こいつ、屈みもしねえ!
「ん……んっ」
「……」
精一杯背伸びして、唇を合わせ、離す。
「……で? 終わりか?」
エンドは馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「前の彼氏に、そんな事も教わらなかったのか?」
「う、うるさい!」
シュウのことを引き合いに出されて、ついカッとした。
再度乱暴に唇を合わせる。
知ってる。この先の事くらい。
シュウにも……こいつにも、教わった。
だけどやっぱり、それ以上進むことができなかった。
固まっている俺の唇を、温かいものが割った。
「ぅん……っ」
エンドの舌だ。
……そういえば、こいつは最初から手馴れてたな。
侵入してくる舌の感覚に、こいつとの初めてのときの記憶が呼び起こされた。
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