第3章 3000円の飲み代金

20/27
前へ
/81ページ
次へ
「ふぁ……」  首に、肩に、鎖骨に、柔らかい口付け。 「――安心しろ。俺の跡は、つけないから」 「は、んっ」  遠藤が言葉を発するたびに、その僅かな振動が繋がったままの俺に伝わり刺激になる。 「つけられたら……困るんだろ?」 「んんんっ」  遠藤の言葉に、唇に、全ての刺激に身体が反応する。  燃え上がる。  遠藤は、ゆっくりと動き出す。  次第に、拒絶している筈の口から甘い声が漏れる。 「あ……んっ」  遠藤に、反応して。 「はぁ……ん」  もっと欲しいと、ねだるかのように。 「ふぁっ」  ち……  小さな舌打ちの音が聞こえた。 「何で……」  苦しげな遠藤の声。  その声には、憤るような感情が込められていた。 「何でお前……そんなにも反応してるんだよ」 「あ、そ、」  それは……  その声にさえびくびくと反応しながら、俺はその回答に気付いていた。  遠藤だから。  遠藤がくれる刺激だから。  快感も、痛いのも苦しいのも全部ひっくるめて。  ずっと、ずっと欲しかったんだ。  これで終わりと、エンドと告げられたあの瞬間からずっと。  映画を見て、はしゃぎながら飯食って、その後、こうやって。 「お前、もう、あいつのだろ? 俺は、必要ないだろ? コンビニにだって付き合わなくっても、いいんだろ?」 「ん、ぁああっ!」  その言葉と同時に、遠藤が動いた。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加