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※※※
「う、ん……」
全身に残る、違和感。
特に下半身。
その不快感に顔を歪ませながら、ゆっくりと意識が引き戻されていく。
「――起きたか」
何かが、頬に触れた。
遠藤の指。
遠藤は、俺の側に座っていた。
ここは――布団の上。
知らない布団から、どこか安心するような、覚えのある匂いを感じる。
ああ、遠藤のだ。
そこでやっと、気が付いた。
遠藤の布団に、俺は寝かされていた。
傍らには覗き込むようにして、遠藤がいる。
そうか。
俺、風呂場で遠藤に……
それで気絶して、ここに運ばれたのか。
遠藤は、ずっとついててくれたのか。
ぼんやりと遠藤の方を見る。
「え、んど……あ、れ?」
遠藤は、唇を引き結び――まるで、泣きそうな顔をしていた。
「――悪かった」
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