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そして気を取り直すようにして話を続ける。
「で、でも……下手とか色々、酷い事言っただろ」
「――俺さ、ホストやってた時により印象に残ってるのって、基本酷い客ばかりだったんだよな」
遠藤は、何かを思い出すかのような遠い目をした。
「だから、あれくらい言っとけばお前の中にしっかり残ると思ってさ。あの時は、お前が俺をどう思ってるのか全く分からなかったから」
「たしかに残ったけどさ!」
それでも、あれはやりすぎなんじゃないだろうか。
まあ、俺の場合、一人の時に思い出しては若干燃えてたんだけど……というのは黙っておいた。
それに、まだまだ遠藤には確認したいことがある。
「……大学で顔を合わせた時のことを聞こうとしたら、思いっきりはぐらかされたし」
「……あれは、“友人”になっちまったらもうお前に買って貰えないんじゃないかと思ってさ」
尚も恨みがましく言い募る俺に、遠藤は弁解する。
「あくまでも、“ホスト”で“商品”の立場でいなけりゃと思ってさ。それに……いや」
「何だよ」
言いかけて止めた遠藤に、先を促す。
絶対にまた余計なことを言うんだろうとは思っていたけれども。
だけど、遠藤の返事は思っていたのと少し違っていた。
「遊びのことなんか全然わかってなかったあの時のお前を……色んな所に案内したいと思ったんだよ」
「それは……まあ……楽しかったけど」
エンドを買って、色々な所に遊びに連れて行ってもらった日々のことをしみじみと思い出す。
遊ぶ、なんてことを全然知らなかった俺に、色々教えてくれたエンド。
こいつも、あの時のことを少しでも楽しいと思っていてくれたのか……
「あと“ホスト”として買ってもらえれば、それを口実にお前とヤれる機会があると……」
「は!?」
遠藤の最後の一言が台無しにするまでは。
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