13人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
腰から下の鱗を捨てて
二本の足をすらりと生やす
「そなたの名前をなんとしよう」
右へ左へ、眺めて触れて
「決めた、そなたはアミメにしよう」
言うなり、抱きしめ口吸うて
我はその場で妻にされ
砂と男にまみれた体、
海(みず)に浸かって汚れを落とし、
再び浜に上がってくれば
男がそのまま座ってる
よくよく見れば、よき男
ヒトの中でも見映えよし
何故にこの身にしがみつく
何故に、何故何故 ?
「わからぬだろう、わからんな」
「忘れるでない、俺の死が、そなたの前なら後を追え。
そなたが先ならこの俺が、一つ残さず食ろうてやろう、忘るなよ」
狂った瞳が我をも狂わす
「是非に。忘れん、必ずに」
がんじがらめの呪(しゅ)に掛かる
最初のコメントを投稿しよう!