プロローグ

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「体力があるなしもある。精神状態も左右するだろう。今動ける者はカバーできる所をカバーしなければならない。これから疲労の度合いで動けなくなる者もでてくるはずだ。動けるうちに動かなければ」 「動ける人間は負担かかってもいいって事かよ、クレイヴン」  苛立ちがジムの言葉を強める。長髪を掻き上げるクレイヴンに鋭い目を向けた。 「負担と捉えるか助け合いと捉えるか、人間性がでるわね」 「何だとガキ」 「ガキはどっちよ」 「やめろ2人共」  睨みを効かせるジムと小柄な女性をクレイヴンが引き離すと、ジムは自分で蹴飛ばしたイスを荒々しく起て、足を組んで座った。 「フェイス」  フェイスと呼ばれた小柄な女性は、幾重にも腕に付けた輪状のアクセサリーを手で弄びながら鼻でジムを嘲り、腕を組んで壁にもたれかかった。 「ケンカをしてる場合じゃないでしょ。2階を片付けなきゃ。行こうマシュ」  エブリンに伴いマシュが2階に上がる階段を進む頃、上階からは外から聞こえる声と同質の音が流れ始めていた。 「また唸ってやがる。アイツ何とかしろよ」  ジムがより苛立ちを募らせる。2階からの唸り声は外のそれと重なり合う。 「友達でしょ。そんな言い方ないんじゃない」 「友達『だった』奴だ。今は死人だろ」 「……クズ」  ジムに聞こえないくらい小さな声でフェイスは囁き、エブリンとマシュが消えた2階の部屋に大股で歩いていった。その間もジムは頭を掻きむしり、まとまらない考えの中に身を浸すしかなかった。
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