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「フェイスも一緒ではなかったんですか?」
「え? なになに?」
自分の名が聞こえたフェイスは、2人の所にきて屈む。何の話をしていたのだろうと、2人の顔を交互に見比べた。
「フェイスはここにくる途中で拾ったんだ」
「人を迷い猫みたいに言わないでくれる? そう、私は山道ウロウロしてたらクレイヴン達が通りがかったのよ。ラッキーだったわ。あのクソ!」
フェイスの吐き捨てる言葉に、マシュはビクッと肩をすくめた。クレイヴンは苦笑いを浮かべる。
「何が……あったの?」
マシュの言葉は勘に触ったらしく、フェイスは鋭い目つきで立ち上がり、キッチンの方に歩いていった。
クレイヴンが苦笑いのまま、マシュの顔を見る。
「彼氏と車で逃げている途中でケンカして置き去りにされたらしい」
「は、はぁ」
フェイスがクレイヴン達に会った理由が痴話喧嘩の末に山に置き去りにされた時に発見されたとは、彼の苦笑いの深さも納得できる。マシュも苦笑いを倣い、徐に立ち上がって暖炉の前に行き、固形菓子の包み紙を暖炉に放った。
「おいマシュ、火ぃ点けろよ。何だか寒くなってきた」
ジムが腕組みをしたまま立ち上がり、二の腕をさすってアピールする。マシュは暖炉の上のマッチを取り、1本擦った。
「やめるんだ」
カーレンがマシュの手首を掴む。あまりのその締めつけの強さに、マシュは驚いて擦ったマッチを落とした。火のついたマッチは暖炉に落とされ、中に僅かに残っていた着火材から小さな煙を立たせた。
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