第1章

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「…………」 何となく釈然としないものを感じながらも夏目はスクーターに跨り直した。 その背中を、 細く開けた扉から女主人が見つめていたのを、 彼は知る由も無かった。 数日後、 カウンターに座った常連さんが声を潜めた。 「例の空き巣事件ね、 近くの商店街もやられたそうだよ。 日中、 店に人が行ってて、 家の方に人がいない時間を狙われたってさ。 どうも商店と隣接した住宅ばかりを狙っているらしいって。 この辺も危ないかもしれないから、 気をつけてたほうがいいよ」 「そうですね、 気をつけます」 冷酒の入ったガラスのお銚子を出しながら、 秋月。
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