第1章

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「笹巻き、 巻いたことあるか?」 訊かれて夏目が瞳を瞬かせる。 「笹団子ですか?」 「いや、 笹団子ではなくて粽だ。 こっちでは粽の事を笹巻きというんだ。 笹団子のことはつの巻きと言う。 牛の角に形が似ているからとかいうが、 本当かな」 「柄のついた細長い三角の粽なら、 作った事ありますけど」 夏目の言葉に、 いいやと秋月が首を振る。 「正三角形に包むんだ。 一枚をこういう風に三角に折って、 中にもち米を入れる。 その上からもう一枚で蓋をするように巻いて、 すげで結ぶ」 説明しながら、 鮮やかな手つきで秋月が三角形にもち米を巻く。 見よう見まねで夏目も笹を巻き始めた。 元々手先は器用で覚えはいい方だから、 直ぐに速度は上がっていく。 あっという間に百個ほどの笹巻きが出来上がった。
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