第1章

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出来上がった笹巻きを大鍋に移して、 そこに水を張る。 「一晩浸しておいてから煮るんだ。 明日はお節句だから、 定食はご飯の代わりにこれをつけよう」 「お節句と言えば、 仕出しのお祝い膳はどうしますか?」 「そうだな……朝掘りの筍を届けてもらう予定だから、 筍ご飯にするとして、 鯉の旨煮は外せないな」 この地方では、 古くから鯉の旨煮はお祝い事では最大のご馳走として作られてきた。 厚めの筒切りにした鯉を、 醤油と砂糖、 それに味醂で煮て水飴を加える。 「決まりものですけど、 ちょっと食べにくいですよね」 鯉は身の間に小骨が多いからと、 夏目。
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