第1章

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「デザートは笹団……つの巻きですか?」 顔を上げた秋月が笑う。 「そうだな」 「あ、 餡を煮るなら小豆が足りないかも。 俺、 ちょっと行って買ってきます」 夏目が身軽く腰を上げた。 行って来ますと店を出てスクーターに跨る。 小路を曲がった信号のない交差点で一時停止をして、 夏目がふと眉を顰めた。 交差点の向こう角、 長いこと空いていた小さな店舗に最近喫茶店が入った。 その店の女主人が外に出ている。 その前に立っているのはグレーのパーカーを深くかぶった男。 ふっとこちらを振り向いたその顔には黒いサングラス。
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