【始動編・ゲームの世界が壊れる刻 第6章】

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さて、昨夜にバンド(現実としてはユニットに近いが)、仲間の花蓮を自宅前まで送り。 終電繋ぎでアパートに戻った後、軽い制作作業をしてから眠った獅籐。 (6時間か…。 12月の寒さの中では、まだ寝足りない様な…) スマホを操作する獅籐は、同じ仲間の‘ユウ’と‘蘭宮’の連絡を期待したが。 (来ねぇ) 獅籐と花蓮とユウと蘭宮。 この四人で組むバンドの〔システィアナ・メイリーン〕は、インディーズにして知名度が在る。 獅籐は、10代前半から家を飛び出して、V系ロックバンドを立ち上げたりした。 大手の音楽会社に入らなくとも、個人の小さな会社から音楽をやると云う野望が在る。 (ハァ…。 クリスマスライヴと年末年始の年越しライヴは、一体ど~すっか) 獅籐の知り合いは多いが、半分は音楽の世界から去った。 新しい仲間を集めるにも、ユウと蘭宮の様に能う者が、まだ見当たらない。 (仕方無い。 どっちも、花蓮と二人してやるか…) 獅籐は、情熱的な一面が在るが。 まだ23歳にして、人間の様々な一面は見て来た経験が在る。 彼の知り合いでも、音楽の世界で成功する為には、どれだけの犠牲が払われたか…。 大手の会社は、時としてバンドやユニットを弄る事を条件に、メジャーを約束する事が在るし。 また、その条件に見合う様にと、バンドやユニットを組む側が、仲間を切り捨てる事も在る。 獅籐の組んでいた最初のバンドは、その思惑からメンバーが引き抜きに遭い。 他のメンバーが、内容は素晴らしいが、古いやり方に拘る処の在る獅籐を切った。 バラバラに成った獅籐のバンド仲間は、一人を除いて大手会社の駒として働く。 その愚痴を聞かされる除かれた一人が、獅籐に愚痴を言いに来たのは・・何時だったか。 ま、自分のみならず、他のバンドやユニットでも、同様の事が在り。 そんな仲間や知り合いの愚痴を聴く側にも成る獅籐は、大抵の事には怒らなく成った。 そんな獅籐だから、その人間を見てちょっと話せば、なぁ~んとなくだがその人となりが見えるのだが…。 一番身近に居て不思議に思うのは、仕事の同僚となる皇輝だ。 人生に焦る事の無い雰囲気やら、妙に自分とは少し対照的で在りならがも、大人びた雰囲気を持つ。
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