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一見すると皇輝の普段は、
‘ゲーム好きの青年’
と云う、何処にでも居そうな人物だ。
然し、その実態は不思議な処だらけだ。
先ず、ゲーム好きの青年と云う割には、非常に話の幅が広い。 芸術や歴史や文学の話をしても、不思議と幅広く様々な話が出来る。
音楽一筋ながら、ネットに関しては強い獅籐だ。 流行りにも強く、話は広く浅く出来る方だ。
そんな獅籐が話す皇輝は、何処か学者の様に話が深い。
そして、なかなか手堅く株をやる獅籐だが。 何故か、株とニュースの話は、皇輝の口を開かせない。 皇輝の話の内容からして、株やニュースに弱そうには思えないのだが…。
だが、一体何処から収入を得たのか、高級億ションに住まい。 悠々として、人生に焦る素振りが全く無く。 また、好き嫌いが言葉にしないが、はっきりしている皇輝。
それから、年に二回ほどか。 5日から10日ぐらいの長期休暇を取ると、小説の取材も兼ねて旅に出てしまう彼。 ヲタクかと思いきや、そうじゃない。 ちぐはぐな趣味や行動は、皇輝と云う人物をミステリアスにする。
皇輝と獅籐があの現場で知り合ってから、既に1年半以上は経過している。
だが、獅籐はそんな皇輝が気に入った。
また、人付き合いをあまり好まない皇輝だが、獅籐とはウマが合うのか。 一緒に仕事する中で、二人は交流を深めた。
皇輝が、ネットで小説を安く売る中。 一度、ネット上に載せるCMを、獅籐が自主的に作った事が在る。 自主的だから勿論ロハだが、このCMの閲覧がそこそこ良く。 売上が出たのは、獅籐も驚きだった。
だが、獅籐も皇輝の官能小説を読んで、奇妙な興奮を覚えた。 金や愛欲には、ある種の狂気や偏執性を感じる一文が在るのに。 一方では、純粋な性や愛情が偲ぶ一文も現れる。
昨今のマンガや小説の中に溢れる、一方的に押し付け快楽で壊れる・・と云う流れとは違う。
マンガにするには、ちょっと難しい…。 そんな小説だったから、売れた事に不思議は無かった。
そんな交流も在り。 獅籐がイベントを計画する時、皇輝はちょっとの援助をしてくれる。
その援助の仕方が、本当に一部。 多くも無いが、少な過ぎる事も無い。 心憎い気遣いの額に、獅籐は皇輝の気遣いを深く感じた。
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