【始動編・ゲームの世界が壊れる刻 最終章】

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普通、中学生ぐらいならば、F・Sに関心を持つ専らの理由は。 ゲームやら仮想空間世界‘HEAVEN'S DOOR’にて、アニメだの音楽活動だのとクリエイティブな活動をする事に惚けるのが、大半か、それ以上。 このジョン少年の様に、F・Sの本体や取り巻く環境にのみ熱を入れると云うのは、不思議でしかない。 「ですが、今に成って、10年前の‘F・Pイベント故障事案’を持ち出すなんて、確かに普通じゃ無いですよ。 あの事件では、F・Sの前タイプ、〔F・P〕の生みの親で在る霧島さんが亡くなり。 事故の核心となる全てが、開発元の〔NNT〕と〔SINYE〕に因って隠蔽されましたから」 「‘隠蔽’か…」 その出来事は、皇輝も気に成ったが。 その事を外しても、驚くべき事実だ。 「原因が不明のままなのは、確かに裏が有りそうだけど・・ね」 「それにその事は」 “当時のセキュリティー業務に携わる全エンジニアにも、非常に解せない深い疑問だった” 「と、ハッキングした内容から記憶してます。 また、ハッカー側からも」 “それぐらいで事故るならば、ハッキングは容易だ’” 「と、沢山の声明が出されたらしいですから」 少年の話に、皇輝も更に驚いたが。 それよりも、不思議に思うのは…。 「そうなんだ。 然し、・・こんな風に話せるプレイヤーが、立て続けに二人も現れるとは・・ね。 このゲーム内は、不思議の宝庫だよ」 この皇輝の話には、ジョン少年の方がまた手を止め。 「‘立て続け’? 僕の他にも、誰か?」 「実は、前のステージでコミュに入って来たDAIMONさんは、10年前の事故に遭った当事者だそうだ」 「それ・・本当ですか?」 「あぁ。 幸いな事にDAIMONさんは、事故が起こった時には目覚める直前で。 システム不具合の影響は全く無かったらしい」 「それは、運が良かったんですね」 「多分ね。 ま、DAIMONさん同様、君みたいに信じてくれる人が居るだけでも、俺には助かるよ」 「信じるも何も…。 今の改良されたF・Sには、色んな機能が在り。 こんなレッドカラーが点灯した場合は、同じコミュに居合わせる人達や。 コントロールするゲームの制作サイド、F・Sのシステム管理をするハードサイドにも、連絡が必ず行く筈」 「確かに、説明書にはそう在った」 この二人、取り扱い説明書はしっかり読み込む方らしい。
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