8人が本棚に入れています
本棚に追加
「‘戯言’や‘虚言’ならば、何でプレイヤー個人の様々な行為が、勝手に制限されているんですか?」
「あぁ? 何を言ってるよ」
迷彩色のツナギを着た中年男性は、言われている意味が解らずに、苛立ち始めた雰囲気を出す。
然し、操作をする少年は、
「今、ゲーム側やF・S側のスタッフサイドに異常を知らせる、F・Sの‘help’機能が利きません」
少年の操作を覗き込む迷彩服の男性は、確かに‘help’を押せないのを見て。
「何だ・・こりゃ」
「それだけじゃ有りません。 ほら、御意見を書き込みする事はおろか、書き込むページも移行が出来ない」
「おっ、おいっ、これはヤバいんじゃ…」
焦り始めた迷彩服の男性に、少年はトドメとばかりに。
「それから、最も顕著な異常は、コレです」
と、少年個人のステータスを表し。
「僕は‘single play mode’で遊んでいたのに。 modeは無視されて、勝手にこのコミュへ組み込まれました。 このゲーム内のコミュに入る為の‘お助けhelp’なんて、一回だって使ってない」
と。
少年の話を聞いて、迷彩服の中年男性もメニュー画面を開いて。 自分でもアレコレと操作するのだが…。
「何で、何でだっ? コミュから抜ける事も出来ないし。 あ゛っ、強制脱出のレスキューも出来ないっ!」
と、漸く異常を知る。
二人は、疑問を実感して初めて、皇輝をまた見返す事に成る。
今度は、少年が先に。
「アナタが、コミュのホストさんですよね?」
冷静な少年の対応に、皇輝は頷いた。
「ホストさん。 先程、現実に戻った時に肉体に異常が出現した、と言いましたが。 それは、風邪や寝不足の症状では無いのですね?」
また、頷いた皇輝は、その流れで。
「このステージをクリア後、我々のコミュは次の休憩に入る必要が出て来る。 その時には、君にも話している意味が解ると思う。 また、強制脱出機能は使えないけど、個人的な休憩には行ける。 その休憩で現実に戻っても、身体に変調は来しているハズだ」
その遣り取りを聞く中年男性は、
「少年、お前っ。 こんな奴の言う事を信じるのか?」
と、問い掛けるが。
冷静な少年は、
「信じるもなにも。 これほどのエラーは、これまでに経験が無いもの。 一ゲームの中に閉じ込められたプレイヤーの出来る事では、決して在りません」
と、淡々としてさえいる語りで言う。
最初のコメントを投稿しよう!