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「木に登るって猫か、お前は」
先ほどソルトの視界に入ってきたのは、窓の外に伸びる木の枝に腰掛けたリアの姿だった。彼女は身軽で―体重についてはソルトも知らない―どんな高さのところにも気付いたら座っていたり立っていたりする。
初めて会った時も、どこから城に入ってきたのか、城の中心にある階段の手すりに立っていた。バランス感覚がとにかく優れているようだった。
「朝日を見たくて登ってしまいましたぁ!」
なるほど、いつも思うままに行動する彼女らしい答えだ。だが、昨日ソルトが寝るときはまだ起きていたはずだ。リアがいつ寝ているのか、不思議に思いながらも、彼はベッドから足を降ろした。
「朝食にしよう、リア」
「了解でぇす、すぐ準備しますねぇ」
ソルトはリアの語尾を伸ばす特徴的なしゃべり方にももう慣れていた。彼女の言葉に頷くと寝間着から着替えるべく洋服タンスの戸を開けた。
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