第二章 騎士から死神へ

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 茶色い古びた机の上に積み重なる紙の束を、ソルトは眼鏡の奥から睨みつけた。 紙の束とは、昨日と今朝届いた手紙でありそれら全てを読んだ彼は大きくため息をついて背もたれに体を預ける。軽い、しかし不気味に軋む音を立てながら背もたれは少し後ろへとのけぞった。 「どいつもこいつも……」 手紙の内容はいずれも“薬”を求めるものだった。彼が死神と呼ばれる所以となったものを求めて、死神の住まう城に手紙の差出人たちはやって来る。 「リア。手紙の返事はいつものでいい、今日中に出せ」 「了解でぇす」 「それが終わったらラボに来い。ワクチン作りを早急にする」 「はぁい!」 リアはにこにこと笑顔のままで返事をする。それを見たソルトは一度頷くと立ち上がり、地下にある研究室―ラボへと向かった。
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