第二章 騎士から死神へ

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 ドアをノックする音が響く。 「入れ」 ソルトがそうこたえれば、リアがにんまりと意地の悪そうな笑顔でドアをあけた。手には……人。いや、正確にいえば、 「……亜種人?」 「はぁい。敷地内にいたので仕留めましたぁ」  亜種人、とはソルトやリア、その他大勢の人間とは違うヒトだ。いつからかは定かでないが、人と獣が交わり生まれた獣人が人間と交わることで生まれた人種とされている。 特徴的なのは、人並外れた力と能力だ。獣のように獰猛な一面もあり、スタミナも無尽蔵で、視力聴力嗅覚といった五感も優れている。 そんな亜種人は、人間とは違うことでいつも差別の対象とされていた。そのため互いに忌み嫌う人種、人間と亜種人であるが、その関係性を変えるものがあった。――感染病だ。 「これ、どうしますぅ?」 「決まってるだろう。不法侵入者はどうするんだっけ?」 「食べちゃう、ですねぇ」 「分かってるならさっさと用意しろ」 「はいはぁい!」  ソルトに言われたリアが、亜種人の体を持ち上げると数メートル先にあった横長の筐体に彼をいれた。頭と足がセットされると、透明なカバーが筐体を覆う。 それを見たソルトは右手をモニターの上に、左手をキーボードの上においた。リアは筐体の横にある椅子に座り、頭にヘルメットを装着すると手首と足首、首のチョーカーを固定する。
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