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水の国、オノゴロ
イザナギは全快し砂浜を散策していた。目の前に巨大な岩の柱がそびえている。この島の由来となっている岩の柱だ。なんでも満ち潮の時にコオロコオロと音がするそうだ。
イザナギは岩の柱に手を触れてみた。なんの変てつもない岩だ。
「あら、なんて素敵な男の人かしら。」
含み笑いと共にイザナミが岩の柱の裏側から覗いた。
「なんと美しい乙女なのだろう。」
イザナギがそう言うとイザナミは嬉しそうに笑った。
「オノゴロではね、この柱を回って結婚の約束をするんですって」
「へぇ。私達もやってみるかい?」
にっこりとイザナギは笑った。
「で、どうやるの?」
「ええっと、女は右から回っておとこは左から回って、お互いが会った所で約束するの。」
「ならば、私は左からだね。」
イザナギは穏やかに笑って左へと行った。慌てイザナミも右へと回る。
しばらく岩の柱づたいに歩くとイザナギが見えてきた。
そしてお互いが触れ合える距離になった。
「私の愛しい人、イザナミ。私の妻になって欲しい。」
「私の愛しい人、イザナギ。ぜひ私の夫に。」
イザナギはイザナミの頬に触れた。
(あの馬鹿もんがあぁぁぁぁぁぁぁ)
一部始終を見てしまったオオワタツミは頭をさらに抱えた。
オノゴロは神聖なる柱だ。あの柱で誓ったことは違えてはならぬ。
もはや、二人を認めてしまわなくてはならない情況だ。
ああ、ナミ女王へ何と申せばよいのか…。
イザナミは七代目の次期女王だと言うに。
あ、なんか胃が痛い。
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