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二年ぶりにアキツは自分の部屋に入った。
白い石壁に金の鳥の模様が羽ばたいている。
床台には緋と朱の二色で織られた布が敷かれてある。その横の台には空になった鳥籠がある。
水の国に行くことになった時に空に放った。
アキツは床台に腰を下ろして、室内を見渡した。
確か前は檜の宮殿だったが、アキツの暴走した火により何度か火事になり、ヒミがキレて岩の国から白鳫石を大量に取り寄せて宮殿を作ったのだ。
アキツは自分の両手に視線を落とした。火のコントロールが出来なくなったのはいつ頃からだろうか…。
暴発する前に見える鮮やかな緋色はなんなのだろう。
思案に耽っていると、扉がノックされ幼い少女が顔を出した。
「アキツ姉姫様!」
「ホヅミ!」
ホヅミは駆け寄ってアキツに抱きついた。
「お帰りなさいませ!」
「ただいま、ホヅミ」
アキツは小さな妹を抱き締めかえした。
アキツとホヅミは同母姉妹だ。ヒミとは異母姉妹になる。
二歳しか離れていないが、ホヅミは病弱な為かさらに幼く見えてしまう。
「ねぇ、姉姫様。水の国てっどんな所でしたの?」
ホヅミが目を輝かせて訊ねた。
「とても良いところだったよ。」
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