八鏡国

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「カグチ兄上様。」 アキツは前を行くカグチに声をかけた。 「2年見ないうちに大きくなったな。」 カグチは振り向いてアキツの頭を撫でた。 「兄上様こそ立派になられてます」 アキツの言葉にカグチは笑って、さらにアキツの頭をぐしゃぐしゃにした。 「どうして、カグチ兄上様も岩の国へ?」 カグチの手が止み、笑いも止まった。 「カグチ兄上様?」 「岩の国でも暴走しないようにお目付け役を買ってでたんだよ。」 「えええぇぇぇ。」 「姉王にどやされる前に荷造りをしとけ」 カグチはアキツのオデコを軽く叩いた。 「大丈夫です。まだ荷ほどきをしてません!そのまま持っていけます」 自信満々に言う妹を見てカグチは笑った。 「兄上様だって、そのまま行かれるんでしょう。」 笑われてアキツが頬を膨らませた。 ふっとカグチは口の端を吊り上げた。 「急いで帰ったから俺の荷物はまだ風の国さ。」 手ぶらで帰ったことになる。 「いや、今頃オホトマの奴が持って帰ってるとこか。」 「…。兄上様に私を笑う権利はないと思われます。」 兄上の従人は可哀想とか思ってしまう。
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