八鏡国

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「宮に案内しましょう。」 「ああ、頼む。」 タタラ場を通り抜けたら、岩で出来た建物が並ぶ。 「お、カグチ!久しぶりー」 一人の若者がカグチめがけてやってきた。 「ホノイカヅチ、元気にしてたか。」 筋肉たくましいでかい青年が人なっつこい笑顔を見せる。 「おぉー元気、元気。カグチは少し痩せたみたいだなー。」 ホノイカヅチがバンバンとカグチの肩を叩いた。 「ホノイカヅチ!皇子に何てことを!」 ツチイカヅチの顔が青ざめる。 「別に構わんよ。」 カグチが笑って答える。 「だってさー」 ツチイカヅチは目の前が暗くなりそうになる。 「ん?このちっこいのは?」 ホノイカヅチがアキツを見下ろした。 「アキツ姫様だ。」 ツチイカヅチが顔をひきつらせる。 「おぉー、カグチの妹か!」 「ホノイカヅチのご無礼どうぞお許し下さい」 ツチイカヅチが頭を下げた。 「構いませんわ。ホノイカヅチ殿はカグチ兄上様のご友人でしょう。」 「おう」 「違うな。」 アキツの問いに別々の答えが帰ってくる。 「カグチひでぇ。俺達夕日に誓いあったじゃねぇか。」 「そうだったか。」 カグチは薄く笑った。 アキツは小さく笑って 「仲がよろしいんですね。」 「だろ。そう見えるだろー」 「そうか?」
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