プロローグ

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「一体どうなってるんだ」 フロントガラス越しに周りの景色を見た。 見渡す限りの木、木、木。 月明かりも余り射し込んでこない深い森の景色に唖然とした。 時刻は22時33分。車内のHDDカーナビの液晶に表示された時間を見る。 「そんなに大きな山じゃあないはずなんだけど…」 意味が分からない…トンネルを抜けたらこの辺りにあるはずのない森の中とか国民的アニメでもあるまいし… 冷静に考えれば考える程理解が出来なくなりそうだ。 取り敢えず通ってきた道を戻ろう。 愛車のBOXカーのバンドルを切り返してトンネルに戻る。 「嘘だろおいっ」 ライトに照らされて見た光景に目を見開く。 「なんで崩れてんだよ!通ってきたときは問題なかっただろうがっ」 天井が崩れていた… トンネルの中にいても仕方ないし出よう。むしろまた倒壊してきたら死んじまう。 トンネルを出てから煙草に火を着けた。 煙と一緒に大きな溜め息を吐く… 「トンネル以外に戻れる道ないし、どうなってんだよ」 スピーカーから切なげな曲が流れる。 《…今だけは悲しい歌 聞きたくないよ…》 本当だよ…
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