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「これはこれは、森谷部長様。わざわざお越しいただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げる、取引先の部長。その後ろには同じように頭を下げる多数の部下。彼が今までの人生で歩んできた道程の成果か、随分と慕われているようだ。
だが定年間近までお年を召されているためか、その手が僅かに震えていた。
「こちらこそ、わざわざお出迎えありがとうございます。渡辺部長」
こちらの部長、森谷が返すように頭を下げる。
「彼はうちの新人でして、今回は経験を積ませたく同行させました」
森谷部長はそういって僕に目配せをする。社会人ならその意図は汲める。
「初めまして。長瀬と申します。未熟な若輩者ですが、どうかよろしくお願いします」
「渡辺と申します。こちらこそ、どうかよろしく」
そう言ってお互いに頭を下げた。
「では、会議室へ案内します。社長も、後程参りますので」
挨拶もそこそこに、会議室へと案内される。
そこで、本日の議題を進めるのだ。
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