1 ヒーローはじめました

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「先程、マスターと話していてわかったんだが、先日、武器屋のおっちゃんの友人が物資の運搬中に魔物に襲われ、入院するほどの怪我を負ったらしい」 魔物による被害。災難ではあるが、良くある話といってよかった。 「それだけではたまにあることなのだが…その友人とやらは余程頭にきたらしく、ギルドに魔物の討伐を依頼したいと言い出したらしくてな…」 ギルド。資格のある者が3名以上集まり、国から認められればどこにでも作ることの出来、個人からの依頼から、国の依頼まで幅広くこなす場のことだ。 「でも、この村にギルドはないですし、依頼したらすごい金額になりますよ?」 幅広く依頼をこなす、といっても、余程暇でない限り、猫の捜索や、お使いを頼まれたのではたまったものではない。その為にも、金額はそれなりに必要だった。 「そう、そこでだ! 正義のヒーローであるこの俺が! ギルドに代わってその魔物を討伐してくれようと…!」 「質問、いいですか?」 熱く語るダレイドに、俺は冷静に問いかける 「ドンときたまえ」 ダレイドはドン、と自分の鎧を叩き、胸を張って見せる。 「正義のヒーローなわけですから、もちろん無償ですよね?」 「…」 いったとたん、ダレイドは置物の鎧の如くピクリとも動かなくたった。 「…」 「…まぁ、あれだな」宙を見ながらダレイドが語り出す 「成功の報告ついでに、ちょっとお小遣いをもらえたらいいな、と思っています」 鉄の塊が宙を向いたまま、呟く。 「めちゃくちゃ動機が不純じゃないですか」 「バカヤロー! この世界は漫画じゃねぇんだ! 無償なんて夢みたいなこといってんじゃねー! 現実を見ろ! 現実を!」 「はぁ…」
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