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「先程、マスターと話していてわかったんだが、先日、武器屋のおっちゃんの友人が物資の運搬中に魔物に襲われ、入院するほどの怪我を負ったらしい」
魔物による被害。災難ではあるが、良くある話といってよかった。
「それだけではたまにあることなのだが…その友人とやらは余程頭にきたらしく、ギルドに魔物の討伐を依頼したいと言い出したらしくてな…」
ギルド。資格のある者が3名以上集まり、国から認められればどこにでも作ることの出来、個人からの依頼から、国の依頼まで幅広くこなす場のことだ。
「でも、この村にギルドはないですし、依頼したらすごい金額になりますよ?」
幅広く依頼をこなす、といっても、余程暇でない限り、猫の捜索や、お使いを頼まれたのではたまったものではない。その為にも、金額はそれなりに必要だった。
「そう、そこでだ! 正義のヒーローであるこの俺が! ギルドに代わってその魔物を討伐してくれようと…!」
「質問、いいですか?」
熱く語るダレイドに、俺は冷静に問いかける
「ドンときたまえ」
ダレイドはドン、と自分の鎧を叩き、胸を張って見せる。
「正義のヒーローなわけですから、もちろん無償ですよね?」
「…」
いったとたん、ダレイドは置物の鎧の如くピクリとも動かなくたった。
「…」
「…まぁ、あれだな」宙を見ながらダレイドが語り出す
「成功の報告ついでに、ちょっとお小遣いをもらえたらいいな、と思っています」
鉄の塊が宙を向いたまま、呟く。
「めちゃくちゃ動機が不純じゃないですか」
「バカヤロー! この世界は漫画じゃねぇんだ! 無償なんて夢みたいなこといってんじゃねー! 現実を見ろ! 現実を!」
「はぁ…」
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