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「ヒーローやろうぜ!」
バカというのは、普段からバカな事をいうが、特別にバカなこともいうらしい事を実感した。
ダレちゃん、と呼ばれた男は、村で唯一のバーにいた。
全身を銀色の鎧で身を包んだ、体格のいい男だった。
さっきも言ったがここはバーだが、男は顔面すら兜で隠し、素肌など全くといっていいほど見えない。常に鎧を着ているのかってくらい、鎧以外の格好を誰も見たことがないという。
酒を飲むときも壁側の席に座り、フルフェイスの兜を少し開いて一気に飲むというのだから、もう生粋の変人だ。
その変人っぷりから、鎧の中身が存在しないだの、実は未成年だの、色んな噂が飛び交うが、真偽は定かではない。ちなみに名前はダレイドという。
その変人は、見た目にも負けず劣らず変人で、ある日突然、突拍子もないことを言い出すこともしばしばあった。
今回も、その一つだ、ただそれだけのことだと思っていた。
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